豪雨と土壁
いよいよ梅雨の時期になりました。 京都でも梅雨らしくない日が続いていましたが、先日激しく降りました。全国的にゲリラ豪雨の被害が出ていますが、我家でも悩ましいことなんです。昔のおしとやかな雨に合わせてトユが造ってあるので、今の時代の豪雨に対処でき
ません。
特に問題は縦樋です。径が細いので常に溢れます。溢れた水で土壁がやられます。地面の中を通っている管も細いので、庭は度々水つき状態です。年々樋は縦も横も大きいサイズに代えていますが、地面の中は未だそのままです。いまや取り替えたトユでも捌ききれない豪雨に度々襲われます。 まさにゲリラです。写真の土壁は「何とか壁」とは
言うらしいですが私は知りません。土の中に鉄粉が混ぜ合わせてあり、時の経過と共に鉄がさびてきて、錆の斑点の浮き出た土壁になります。昔からの壁はそれなりの風情を持っていますが、いわれを聞かなければ若者で無くとも気持ち悪い壁でしょう。大分痛んだところだけをもう十年くらい前にやり代えました。しかし鉄錆がにじみ出て、風格を持つ前に既に写真のような有様です。塗りなおしても同じ事の繰り返しとあらば、温暖化が阻止され、ゲリラ豪雨が止み、穏やかな雨が降るようになった頃に塗り替えるように、言い残しておかねばなりませんね。そんな思いの土壁も、神社仏閣ならともかく、普通の家では、汚い壁と思われるのがせいぜいでしょう。この壁を声に出して褒めてくれたのは、私の友人知己のなかでもただの一人です。あるとき電気工事屋さんが写真のように土壁にペンキを垂らしてしまいました。聞けば、こんな汚い壁にペンキをたれることに、何の心の痛みも無かったそうです。写真は共に玄関庭のものです。話は少し変わりますがもう一つの壁の話です。 親父の葬式の時に久しぶりに我家を見上げ、表の壁が相当くたぶれているのを痛感し、塗り替えを懇意な左官屋さんに頼みました。25年以上前のことです。本来 お寺でよく見るような艶々と黒光りする壁です。この壁は一人でゆっくり塗っていると、乾いたところと新しく塗ったところに筋が出てしまうそうです。我家の表は間口8間あるので、当日は7、8人のベテラン左官屋さんが子屋根の上に作られた足場の上に立ち並び、ヨ-イドンで一斉に塗られました。親切な人ばかりでついでにとあちらこちら直してもらいました。どんなに高くつくかと心配しましたが、皆さんは今言うボランティヤ-気分で仕事をしてくださり、値段を見てホットした記憶があります。「こんな家は今二度と建てられないよ。 大事にしなはれや」と口々におっしゃいました。あの時の職人さん達の心意気を思うと、昭和も遠くなりにけり!の感あり。です。


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